Technology

三和合繊では、一つひとつのプリントに対し、緻密な調色と加工の最適化を徹底。蓄積された技と経験をもとに、妥協のない仕上がりを追求しています。多様なオーダーに応える技術と、品質に対するこだわりをご紹介します。

プリント方法 How to print

01クロモジェットプリント

予め調整した色のりを生地に吹き付けるプリント技術です。1枚から製作することができ、滑らかで美しいグラデーションや、繊細で複雑な柄を表現できるのが特徴です。また最大3,000㎡までの大判プリントにも対応。タイルカーペットやロールカーペットを繋ぎ合わせて、自由度の高い大きな一枚絵をプリントすることも可能です。

プリントの流れ

  • 01

    プリント生地の下準備

    プリントを行うロール生地のほこり・ゴミを取り除いてプリント加工の準備を行います。

  • 02

    クロモジェットデジタルプリント機でのプリント加工

    クロモジェットデジタルプリント機を使用してデジタルプリントを行います。CJ400機(解像度25dpi)はスポットカラー16色まで、CJ800機(解像度75dpi)はスポットカラー16色とプロセスカラー(CMYKフルカラー)に対応。この2台のプリント機でデザインに適したタイプを使用します。

  • 03

    蒸す

    プリント機で印刷された状態では、染料が生地に塗布されているだけで染色されていません。蒸し工程では巨大な蒸機に染色されたタイルカーペットを通すことで、生地に染料を化学的に固着します。

  • 04

    洗浄・吸引脱水・撥水加工・乾燥

    蒸し工程後、プリントされたタイルカーペットはベルトコンベアで運ばれ、洗浄・吸引脱水・撥水加工の処理を行います。洗い終わったタイルカーペットを乾燥機で乾燥します。

  • 05

    反り修正

    乾燥されたタイルカーペットは4つの角部分が浮き上がっていることがあります。このまま施工して敷いてしまうと、角部分が浮き上がり施工不良となります。これを防ぐため、反り専用設計された反り修正機を使用し、上向きの反りを下向きに修正します。

  • 06

    検品・梱包

    完成したタイルカーペットは、JIS規格に準拠した光源のもと、職人による厳格な目視検査で色や柄を細部まで確認します。その後、施工現場での識別を容易にするため、色分けや内容物の明示が施された状態で梱包・出荷します。

02スクリーンプリント

製版し上から色のりをのせるプリント技術で、意匠性の高いマットのプリントにも対応することができます。落ち着いた高級感ある仕上がりに加え、大量生産にも向いています。低コストで大ロットにも安定して対応できます。

プリントの流れ

  • 01

    プリント生地の下準備

    プリントを行うロール生地のほこり・ゴミを取り除いてプリント加工の準備を行います。

  • 02

    スクリーン本機による捺染プリント

    本番用に製版したスクリーン型を捺染機にセットし、弊社独自で調整した色糊、スキージと呼ばれるゴムベラを使用して、1色1版で柄をプリントして行きます。
    最大13色までの色数がプリント可能で、250m/hの加工速度で生産できます。

  • 03

    蒸す

    捺染機で印刷された状態では、染料が生地に塗布されているだけで染色されていません。蒸し工程では巨大な蒸機に生地を通すことで生地に染料を化学的に固着します。蒸機内に入る生地の長さは最大100mにもなります。

  • 04

    洗浄

    蒸し工程を経た生地には、色糊の糊成分が付着しています。これを洗浄工程で洗い落とします。巨大な洗い機には1槽1.5トンの水が張られた水槽が5つ連続しており5つの水槽を通過する事で生地上の糊成分が洗い落とされます。
    洗浄工程で撥水加工・吸水加工等さまざまな機能性加工もできます。

  • 05

    脱水・乾燥

    遠心脱水機で脱水し、6連タンブラーと呼ばれる巨大な乾燥機で乾燥します。乾燥機の中を生地が通過する際、乾燥機内のドラムで生地が左右にしごかれる事により、生地をふわっとした風合いに仕上げる事ができます。

  • 06

    検査・梱包

    乾燥後、職人の厳しい目により検査し、お客様のご指定の様態に裁断、梱包し出荷いたします。

これまでの事例 Episode

「こんなこと、できますか?」
そんなお声から始まったプロジェクトも、少なくありません。想像を超える仕上がりを目指して、一つひとつに真摯に向き合い、こだわりを積み重ねてきました。目に見えない工夫の積み重ねを、実例を通してご紹介します。

  1. 01

    デザインをあえてぼかして染めてほしい。

    展望台の足元

    依頼されたデザインは、日本の伝統柄「鮫小紋」で、極めて細かい点で構成された扇の模様でした。しかし実際に人がその上を歩くと、視覚的な影響で目がくらみ、歩きづらくなってしまうという予期せぬ問題が発生。そこでお客様からは、試作段階で偶然生じたわずかな「ぼやけ」の表現を、意図的に再現してほしいという難易度の高いご要望をいただきました。

    これは、一般的な「くっきりと再現する」プリントとは真逆の、「あえてにじませる」という繊細な表現の調整が求められたものです。当社では、長年培ってきた染色技術や経験を活かし、色のりの粘度や吐出量などを細かく調整。試行錯誤を重ねた末、安定してその独特な表情を再現することに成功しました。

  2. 02

    人工芝にプリントしてほしい。

    グラウンドの足元

    これまであまり前例のなかった、人工芝へのプリント加工のご依頼。人工芝はカーペットと異なり、毛足が粗く密度が低いため、一般的なプリント方法では毛先から根元まで均一に染めることが難しい素材です。そのため同じ設備を持つ他社でも実現できなかったとご相談をいただきました。
    そこで私たちは、素材に合わせた独自の加工方法を検討。社外秘のため大きな声では言えませんが、試作を重ねた結果、均一な仕上がりを実現し、製品化に成功しました。
    製品はプロ野球の球場で採用されたほか、サッカースタジアムへの導入も決まりました。

    現在では、人工芝を活用したトリックアートやサインなど、技術を応用した驚きや楽しさを感じられる新しい表現の製品展開も進めています。

  3. 03

    施工時に、自然と馴染むように仕上げてほしい。

    空港の足元

    国内屈指の空港において、当社のプリント加工技術が採用されました。ご依頼いただいたのは、広範囲にわたる複雑な柄のカーペット。特徴的なパターンであるがゆえに、プリントした日やロットによってタイルカーペットに色差が生じやすく、特に広い面積での施工時には色の違いが目立ってしまうという課題がありました。
    こうしたケースでは、通常、施工後に色ブレが発覚し、再施工が必要になることもあります。しかし当社では、そのような事態を未然に防ぐため、プリント環境のわずかな違いを事前に想定し、柄の位置や色の濃淡を細かく調整。現場で複数のタイルカーペットを並べた際にも自然になじむよう、緻密な設計を行いました。

    このように、プリント精度だけでなく施工後の仕上がりまで考慮したものづくりにより、3年以上にわたり問題なく納品・運用され、高い評価をいただいています。

技術の話なのに、意外とおもしろい。
三和合繊のちょっとおもしろいこだわりを集めました。

  • く染色は生き物のようだと言われます。気温や湿度、気圧などによって刻々と変化するからです。当社ではこうした変化に対応し、安定したものづくりを実現するために、さまざまな管理項目を設けています。その一つが、プリントに使用する色のりの量です。色のりは1時間に1回以上の頻度で計測し、0.1g単位で厳密にコントロールしています。わずかな差が仕上がりに影響するため、細やかな管理が欠かせません。

  • ーペット専用のデジタルプリント機には、高解像度・中解像度・低解像度の3タイプがあります。国内に導入されている5台のうち、すべてが高解像度または中解像度タイプです。この2種類のプリント機を両方保有しているのは、国内で当社だけ。あらゆるニーズに柔軟に対応できる体制を整えています。

  • ジタルのフルカラーは、一見すると十分な色数があるように思われがちです。実際、RGBではR:0~255、G:0~255、B:0~255とそれぞれ256段階あり、256×256×256=約1,678万色になります。一方、アナログの染色では通常赤、青、黄の3色を混ぜて調色します。それぞれに1万以上の階調があり、掛け合わせると1兆色にものぼります。 「そんなに色数があっても違いが分かるの?」と思われるかもしれません。実は、十分に分かります。人間の目はそれほど優れたセンサーなのです。これも、私たちの染色技術を支える重要な要素です。

  • の色の見え方は、光の種類によって変わります。この色の見え方の違いを「演色性」と呼びます。演色性は「平均演色評価数(Ra)」という数値で表され、100に近いほど自然な色に見えるとされています。当社では、色確認用の光源としてRa97の高性能LEDを採用し、お客様の色指示に正確に対応できる環境を整えています。

設備紹介

  • ChromoJET 400(Zimmer社)

    カーペットの染色に特化したデジタルプリント機です。25dpiの解像度で絵柄を表現することができます。

  • ChromoJET 800(Zimmer社)

    カーペットの染色に特化したデジタルプリント機です。75dpiの高解像度でフルカラーの写真調の絵柄も表現することができます。

  • オートスクリーン捺染機NA-9000(NAGAI社)

    巨大な版画のような機械で、最大13色の絵柄を重ね一つの絵柄に仕上げます。

  • 1枚オートスクリーン捺染機(上野山機工)

    1枚タイプのスクリーン捺染機です。樹脂加工や特殊エンボス加工等が可能です。

  • 乾燥機兼樹脂加工用ドライヤー(平野金属)

    巨大な乾燥機で、製品の乾燥だけではなく、各種樹脂加工(滑り止めや止水加工)を施すことも可能です。

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